枚方なぎさ高校を観劇して
7月27日(火)枚方なぎさ高校HPF公演「域地 -ikichi-」を観劇しました。桜塚高校です。
会場に入るとまず、舞台上に散りばめられた装置に目がいきました。中央に吊り下げられた金色のテープや、中央がくり抜かれ、薄い布が掛けられた階段、袖から伸びるロープが印象的でした。
役者の方々の演技が自然で、山の中で道に迷ったという非日常的な場面もとてもリアルに感じました。また、一人一人が自分の中に秘めたことに対して向き合うシーンでは「女3」を演じていた方の演じ分けがすごいと思いました。自殺をお母さんに止められる場面、子供に水をあげられずに探し回る場面、神様を疑ったことがないと嘘をつき、必死に祈りを捧げる場面、自分はただスリルを求めていただけで、死ぬのは嫌だという場面、自然と向き合い、人間は何かを奪わないと生きていけないという場面。どのシーンも追い詰められた状況を繊細に表現していて、その迫力に圧倒されました。
袖から舞台を這うように出てくるスモークと舞台上に置かれた照明が組み合わさって、とても綺麗で幻想的な雰囲気を演出していました。
階段に開けられた穴に仕込まれた照明で紗幕布の奥が見えるようになったり、照明で水の存在を表現したり、テープで木を表現するアイデアは学ぶべきところがありました。
そのほかには音響に力を入れられていると思いました。場面ごとに丁寧にBGMが入れられていたり、雨や滝、雷など様々な音を組み合わせた演出が見ていて飽きることがありませんでした。
バルコニーを使ったり、舞台も広く使っていて今後の参考にしたいと思えることが多い舞台でした。
枚方なぎさ高校演劇部のみなさん、本当にお疲れ様でした。
桜塚高校 観劇レポート担当 野田 駿太(3年)・鎌田 大雅(1年)
大谷高校「毒薬と老嬢」7月26日18:00公演を観劇して
まず最初に一人の女性と男性が楽しそうに会話しているところから目を惹かれました。自然なパントマイムが見事でどんどん引き込まれ、まさかあの後…とは思いもしませんでした。その前のラジオやテレビ番組のような客入れで、始まりからわくわくさせられました。
舞台が日本ではない上、各役柄に個性が必要とされる台本だと思います。ですが、舞台全体を使った動きや時々はさみ込まれるミュージカル風な動きなども含め、役者の演技が洗練されていて違和感が全くなかったです。ふふっと笑うシーンが多く、姉妹の口癖の「ふぅ〜ん〜♪」や動きなど非常にコミカルに表現されており、この劇においていい味を出していたのだと思います。
役者さんは、背中を向けてセリフを言う場面があるのに、声がよく届いていたり、地下室へいく時に姿が見えなくなるまで演じているところが、素晴らしいと思いました。また、ドレスや白髪などの衣装が細部までこだわることができていて、視覚的にも楽しかったです。
照明、音響は役者と場面にとても合っていて良かったです。特に長椅子を照らすシーンが印象的でした。女性のターンする動きに合わせて舞うスカートもとても愛らしく、各々の衣装が凝られていました。
劇が終了しても。、カーテンコールから役者さんたちの退場まで、それぞれのキャラクター性が出ていて、最後まで楽しませていただきました。
全体を通して役者・音響・照明・装置・衣装など細かいところまで凝って作られており、沢山の練習を積み重ねているんだろうなと感じました。観にこられた方を楽しませるという精神を感じ、私たちも見習おうと思いました。
大谷高校のみなさん、素敵な作品をありがとうございました。
東海大学付属大阪仰星高校 廣田葉月 野村皐羽
大谷高等学校「毒薬と老女」7月25日(日)18:30の回 観劇ブログ
精華高校さんHPF公演「笑ってよゲロ子ちゃん」観劇ブログ
精華高校さんHPF公演、「笑ってよゲロ子ちゃん」を見させていただきました。
客入れのラジオ番組が、まさか劇の内容と繋がっているなんて、初めは思いもしませんでした。
ひとりひとり迫力のある演技で、時間を忘れて最後まで見入ってしまいました。
ゲロ子ちゃんはどうなるのか。周りの人たちの心が変わってき、主人公の心の変化も現れる。よく読み込まれた役づくりでとてもびっくりでした。見ていて、そこで終わるのか…!とラストの展開にも衝撃を受けました。
そして、音照さんにも凄いなぁと思いました。
かぶりものをかぶったときの声。スピーカーから声が聞こえてきて、録音したものを使っているのかな?と思いきや、よく見るとしっかり喋っていました。マイクを付けているのでしょう、気づいたときは驚きでした。
また照明の激しい変化。白い光がチカチカ光っていて、これまた綺麗な照明にも驚きを隠せませんでした。今思えば、全体的に緑の照明が多かったのも、カエルを表すための照明なのかと、ひとつ発見です。
他にも、役者さんの性格や雰囲気がわかりやすい衣装や、ここは放送局なんだと直ぐに気づく事が出来た装置等。こだわりがたくさんあって、見ていて感激を受けてばかりでした。
最高の劇をありがとうございました。
枚方なぎさ高校 東谷・山田・山本
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淀川工科高校「この1億円どうしよう」 観劇レポート
淀川工科高校さんの「この1億円どうしよう」を観劇させていただきました。
どのように話が展開していくのかと思いつつ、お芝居が始まるとすぐに世界観に引き込まれました。冒頭から役者さんたちのコミカルな演技、絶妙なテンポでが繰り広げられるセリフの掛け合いで思わず笑いが出てきてしまうようなシーンも多く、わくわくしながら観ることができました。
ベンチに置かれている1億円、これを発見し自分たちの物にしようとする田中と佐藤、子どもが誘拐されていてこれは身代金だと言う専業主婦、娘の整形手術の費用だと言う山田。なにが本当でなにが嘘なのか。なにを信じてなにを疑えばいいのか。嘘が暴かれていく流れは観ている側もハラハラしました。
また序盤のコミカルな演技とは打って変わって、結末にかけてのシリアスな演技も魅力的でした。
1億円の札束や銃などはパントで表現されていたのですが、役者さん1人1人がパントでも重みを感じながら演技していたり、恐怖、怒り、悲しみなどを繊細な体や顔の動きで表現していたと思います。そのようにリアリティ溢れるこのお芝居の中に、特に専業主婦の大切なものを失うことで殺人鬼となってしまう姿はなんとも言えない、複雑な気持ちを感じました。
そしてこのお芝居のラスト、田中のその直前までに起こった全てが走馬灯のように流れるシーンの演出がとても印象に残りました。
経験がないことを演技する、とゆうことは難しいことだったと思うのですが、淀川工科高校さんは、今起きた出来事をありのまま、写実的に「経験」し、人間の欲や恨み、寂しさや生きたいと思う心などをいい意味で生々しく演じられていたと思います。
とても素敵な舞台で楽しく観劇させていただきました。
淀川工科高校の皆さん、お疲れ様でした。
金蘭会高校 3年 岩野七葉、2年 栗原輝
21日桜塚高校を観劇して
21日(水)桜塚高校HPF公演「大きな桜 小さな演者」を観劇しました、豊島高校です。
今回はネズミや猫が主人公の劇というのがあまり見ない作風でとても惹かれました。キャストの皆さんがネズミの耳や猫耳をつけているのがすごく可愛くて良かったです。ネズミの仲間内でのすれ違いや、ネズミのユキと猫のノラという種の違う2人が起こす感情や出来事は、人間たちの間に起こる物事を表しているのかなとも思い、考えさせられる劇でした。
どのキャストもキャラクターの個性があって良かったと思います。
その他では全体的に、舞台美術にすごく力を入れられている印象が強かったです。細かいところまで手を入れられていて、見ていて飽きず、舞台上がきれいで映えるなと思いました。
入って舞台を最初に見た時、舞台装置が大きく、直線的で不規則な模様ながら違和感のない装置に圧倒されました。
また、劇中で出てくるホタルのシーンでのプロジェクターを使った照明が綺麗でした。LEDで舞台上部の木を模した装置に色を当てたり、舞台装置の模様に合わせて光る照明の使い方がすごく効果的でした。
初めからスモークを焚かれていたと思うのですが、ネズミの住処の雰囲気があるのと、ムービングやサスペンションライトなどの光の筋が綺麗に出ているのが良かったです。スモークを焚きながらムービングを客席に向けると舞台上が見えなくなるのが、暗転やブルー暗転とは違った雰囲気がありました。
すごく参考になる部分が多く、観て良かったと思える劇でした。本当にお疲れ様でした!
担当・豊島高校
長尾高校 「ガッコの階段物語」 観劇レポート
長尾高等学校さんの「ガッコの階段物語」を観劇させて頂きました。
階段の前で立ち止まっている人を元気付ける「階段部」。序盤は登場人物の背景があまり明かされないにも関わらず、ひとりひとりに愛着を持てるような個性的な演技が素晴らしかったです。舞台上を激しく動き回って叫ぶ姿に熱量をぶつけられるような感覚で、まさかほとんどの方が初舞台だなんて思いもしませんでした。
怪談話や階段話で盛り上がる激しくコミカルな場面が「息を潜めろ!」の一言で、パタパタパタ、と囁きがだんだん激しくなる不穏な場面へ一転し、また何事もなかったかのようにコミカルな階段部のシーンに戻る。空気感が一瞬で切り替わり、ここからどうなるんだろうと物語の中に引き込まれました。
「何の為に階段を登るのか」繰り返しそれを問われる中で登場する日常の場面は、コミカルでテンポ良く、尚且つ人生を思って少しほろっときてしまうような良いシーンでした。ありきたりな日常の場面を一気にドラマチックに感じさせる選曲も素晴らしかったと思います。
一歩を踏み出す為の階段、天国への階段、人生の階段、津波から逃れる命の階段。死者を思って階段の前から進めなくなってしまった生者を励ます死者、という構造が浮かび上がると、面白おかしく精一杯ガッコを励まそうとする階段部たちがなんとも愛おしく思えてきます。そして、生き残って日常を生きていけることの苦しみも強烈に伝わってきました。
階段を登ったから生きている、生きるためには登らなければいけない、生きているから登ることができる…。階段のすぐ下まで迫った水面の下からガッコを励ます真っ直ぐな声が胸を打ちました。このお芝居の魅力はそういった真っ直ぐさだと思います。
役者の方々によるまさに全力投球の演技、そして舞台上の雰囲気をガラッと変化させる音響・照明。細かいところまで凝って作られており、沢山の練習量があってこそなのだろうと感じる舞台でした。
素敵な舞台をありがとうございました。長尾高等学校の皆さん、お疲れ様でした。